車載動画TIPS 車載動画の歴史はブレ対策の歴史 (大げさ)

私の車載動画の手ブレ対策を時系列でまとめました。

カメラ、レンズ、カメラマウント、編集、の全てで総合的にブレないような映像になるように工夫してきました。「ブレ対策はどうしていますか」というコメントをたまに頂くことがありますが、コメントで返せるレベルではないので記事としてまとめておきます。


2008年:  HDR-SR12 (Sony)
最初のカメラです。アクティブ補正が出る前の機種です。光学補正のみ(レンズ)です。補正能力はそこそこで、高速道路ではブレが目立ちます。手ぶれ補正ソフトをいくつか試し、EDIUSに付属の Mercalli (V1) に出会います。当時持っていたのは、EDIUS NEO で EDIUS PRO の方にしかついてこなかったので買い替えました。最初は、うまく使えなかったのですが、設定のコツを覚えてからはよく効くようになりました。2009年の2月のドライブの編集でうまく補正がかかるようになりました。
HDR-SR12

2010年: HDR-CX550V (Sony)
2台目です。
アクティブ補正が付き、今までとは比較にならないくらい手ぶれ補正が効くようになりました。上で使っていた手ぶれ補正ソフトもかけていましたが、効かせる量が半分位でいいようになりました。ただ、色などの映りがSR12と比較するとイマイチな気がしてあまり使いませんでした。

2011年: DMC-GH2
約1.5年で買い替えです。
評価の高かった GH2 に買い替えます。映りは(24Pモード)で飛躍的に向上しました。ただ、レンズ内の光学手ブレ補正ということで、補正レベルは、SR12と同等に戻りました。最初は、キットレンズ (12-42mm) でしたので、Mega O.I.S.と呼ばれる補正でした。
DMC-GH2 と HDR-CX550V
2011年10月: レンズ追加 (PZ14-42mm)
Mega O.I.S から Power O.I.S に代わり、約2倍の効きということで、レンズを追加しました。が、このレンズは車載向きではなかったです。沈胴式なので可動部分が多いのか余計な細かい振動が多かったです。キットレンズの方がブレは少なかったです。
新東名の開通動画などもこのレンズでした。編集時の手ぶれ補正適用後もブレが残る状態でした。この時のブレ具合を動画にしました。一番下にあります。
最近では、相模湾の横方向の動画で使いました。https://youtu.be/qQABkWeSKFs 
この動画は、GH3 と このレンズの組み合わせです。上の動画はソフトでの手ぶれ補正はかけていませんが、プルプルした感じはないので当時使っていたマウントとの相性が悪かったのかもしれません。

2012年11月: レンズ追加 (12-35mm)
広角になったのと、Power O.I.S. ということで導入しました。このレンズは、素晴らしく、かなり手ブレを抑えてくれます。(CX550V レベルには達していませんが) 今もこのレンズです。レンズを買って最初に撮りに行ったのが「三浦半島ドライブ」でした。ただ、このレンズは逆光に弱く、夜のシーンでは、フレア・ゴーストが大量に出ます。

2013年2月 GH3 導入
上の12-35mmと一緒に買う予定でしたが、本体がなかなか買えず、レンズのみ先に買っていました。映りも良くなりました。レンズの手ぶれ補正と、Mercalli V1 (V2も)の組み合わせで使っていました。このころから、マウントの強化に着手します。理由としては、12-35mmのレンズが大きくなり、フロントガラスにぶつかるのと、剛性を強化してブレを抑えるためです。GH3とこのレンズの組み合わせは、以前のGH2+レンズより大きく・重くなったので走行中にカメラが振動するようになり、より強力なマウントにする必要があったためです。やはり、カメラは軽いほうが対策しやすいです。
DMC-GH3の箱
2013年6月まで
まず変えたのは、雲台です。最初に使っていた雲台は自由雲台(ボール玉を挟むタイプ)でしたが、これが使えない(振動で緩む、路面の衝撃で傾く等)ので、3ウェイ雲台を使っていました。
3ウェイ雲台は走行中に緩むとかはなかったですが、高さがあるため、雲台・クイックシューを使うとそれなりの高さになってしまいます。(このため、フロントガラスに当たってしまう) そこでこの時に導入したのがスリックのレベリングユニットという雲台です。調整幅は少ない(10%)ですが、しっかり固定でき、高さも低くなりました。
私の使い方では、調整幅が少ないのは水平を調整するためだけなので問題ありません、が、この調整幅の制限のため、この頃の動画から画面下にボンネットが映るようになります。レベリングユニットは、現在は生産完了しています、後継のレベリングユニット2が販売中です。
これに組み合わせたのが、マンフロットの "望遠レンズサポート 293" です。これは、本来は望遠レンズの支持用なのですが、普通のレンズでも使えます。先端にレンズを抑えるマジックテープ付きの布がついていて、これを使うと、走行中にレンズがプルプルするのを低減出来ます。コレはかなりの効果がありました。ただ、大分長さがあるのでダッシュボードから室内側にはみ出します。このハミ出し部分に一脚を使って下からの支持を追加しました。あとは、自転車用のフックのついたゴムで幾つかの場所を固定し完成しました。(自転車用のフックのついたゴムはおすすめです)
完成して、試しにドライブに行った動画が「関東 ドライブ 東京・埼玉・栃木・群馬」です。


この組み合わせで路面がいいところは、ほぼ手ぶれ補正は掛ける必要はなくなりましたが、路面がいいところだけではないので手ぶれ補正もかけていました。(上の動画では、途中の羽生PAから先はソフトでの手ぶれ補正をかけていません)

(補足) 自由雲台が全部だめということではないです。カタログに耐荷重という値がありますが、これがぎりぎりだと衝撃で動いてしまいます。耐荷重はあくまで動いていないときの値ですので、この値に余裕がある自由雲台なら問題はないです。
また、雲台の交換自体はブレ対策には直接的には関係ありません。
望遠レンズサポート 293 に元から付いている雲台を取ってレベリングユニット(+クイックシュー)に交換しています。
3ウェイ雲台を交換したもう一つの理由は、調整用の棒が邪魔だったためです。3ウェイなので棒が出ていたのですが、これがマウントに干渉していたため本来の向きとは別の向きにつけていて不便でした。3ウェイマウントは、ベルボンの PHD-31Qを使っていました。これを買ったのは、2010年11月です。

2014年5月 GH4 (4K)
そして、4k です。レンズはそのままの 12-35mmです。
これまで使っていたMercalli V1 は HD (1080p)まででしたので、使えなくなりました。 Mercalli V2 を使っていましたが、効きがいまいちです。(もしくは、効きすぎ) 手ぶれ補正はいろいろ試しているところです。最近は、4k の場合、Mercalli V2 を軽くかけるか、EDIUS 付属のスタビライザーをかける事が多いです。但し、4kになって解析に時間がかかるようになったためかけないことも多いです。
現在は、Premiere, Aftereffects に付属のワープスタビライザーなどを試しています。(このソフトは更に解析に時間がかかります)
また、Mercali V4 も評価中です。(CMOS FIXERは Mercalli V4 の一部です)
ソフトでの補正には若干疲れてきたので、ソニーのハンディーカムに戻るか、3ウェイブラシレスジンバルなど導入するか検討中です。ハンディーカムも最近の物は映りが良さそうなので。

いっそ、手ぶれ補正ソフトを作ってみようかと思い、OpenCV の本などを買ってみましたが、難しそうです。

最後に、以下にソフトでの手ぶれ補正がしにくいシーン例を挙げます。
- ワイパー 
- トンネル内
- トンネルに入る時、出る時
- 森の中
- カーブ
基本的に、走行中ですので、遠くが見えないような所では効きが悪いです。
ワイパーは、ワイパーに反応して画面が動いてしまいます。(Mercalli V2)

手ぶれ補正のサンプルです。2012年4月です。GH2+PZ14-42mmの時です。


※ 2016年1月に CMOS-FIXERは購入しました。同じころにEDIUS8にバージョンアップしました。

揺れの少ない車が一番の対策ではないかと最近は思います。

この記事は、ダッシュボード上のマウントです。最近、撮り始めた横方向のマウントはまた別です。
横用のマウントはデルキンのFatGecko(2個 タイプ)です。これについては別記事にする予定です。

2017年8月:追記
4月にDC-GH5が来て、また状況が変わっています。
GH5はGH4のときにはなかった細かいブレが出てしまいます。(微ブレと勝手に名付けています^^)この微ブレを取るのにCMOS-FIXRが大変に役に立ちます。CMOS-FIXRをかけるとほぼOKレベルです。さらにワープスタビライザーをかければ完璧です。
逆に言うと、GH5の動画は、CMOS-FIXRをかけないと駄目なレベルです。
CMOS-FIXRは、副作用というか、若干弱い部分があります。それは、遠くのものを近くのものが横切った場合に遠くのものがゆがんでしまう現象です。気になりはじめると結構気になるのですが、最近、60fpsの動画はこの現象が目立たない事がわかり、4k60pで撮影するようにしています。ただ、60fpsだとフレーム数が30fpsの倍になるのでCMOS-FIXERの解析時間も倍になります。結構時間がかかり辛いところです。
以下の動画は、CMOS-FIXERをかけてから、ワープスタビライザーをかけた動画です。

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